誰だって初めての子育てには戸惑うし、苦労するし自信もなくす。どんなに優秀なワーキングウーマンでも、母になった途端、初めての子育てには悪戦苦闘する。これまでの人生で積み上げてきたものは一体なんだったんだろうと思うくらい、子育てには苦戦する。

発達のスピードだってひとりひとり違って当たり前。『人と違うって素敵なことだよ、個性だから大切にしてあげればいいよ』って人には簡単に言えるけれど、自分のこどものことになるとそんな風に思えない。だからこそ、1人目育児でうっかり巻き込まれてしまうのが

『おむつはずしレース』

周りの子よりも早くおむつがはずれると『すごいね!』という、ちょっとした評価がもらえる。おむつはずしはお母さんの仕事でもある!という認識がまだあるのだと思う。お母さんが熱心に頑張ったから、おむつがはずれたんだろうという認識も強い。いつのまにか、おむつはずしレースが、母としてどれだけ子育てをがんばっているかを競い合うレースにすり変わってしまうこともある。

同年代のこどもたちがどんどんパンツスタイルになっていく中、まだ、おむつがはずれていないとなるとママたちも焦りを感じ出す。そんなタイミングで、『今のおむつは濡れても気持ち悪くないから、はずれないのよ』と不意打ちの一言。1人目育児の場合、この不意打ちが思いのほか胸に刺さる。この意見はだいたい昭和を生き抜いてきた母親世代から飛び出す。

それを真に受けて、濡れると気持ちが悪いであろうトレーニングパンツに変えてみるけれど、結局何度も失敗して、洗濯の回数が増えて、イライラしたあげく、こどもにあたってしまう。これはお恥ずかしながら、私の実体験。

こどもの成長を見守りながらタイミングを図っていたのではなくて、自分に対する母としての評価を下げたくなくて空回りしていただけ。結局のところおむつはずしレースは、他人とのレースではなく自己評価をいかに上げるかという競争になっていたりもする。

けれども、おむつはずしは『トイレトレーニング』とも呼ばれている通り、トレーニングをするのはこども本人。ママはトレーニングコーチでしかない。大事なのは本人の意欲とコンディション。コーチが周りの評価に振り回されたり、一喜一憂していたのではトレーニングもなかなか進まない。

コーチとして、あの手この手を使いながら、トイレトレーニングの日々が続く。トイレに行く度にシールを貼るとか、こどもと一緒にお姉さんパンツを買いに行って、おむつはずしの意欲を高めるとか、もう誰でも知っているような方法。

けれど、それが功を奏するかどうかは、身体の成長段階によって違う。おむつがはずれたタイミングを冷静に振り返ってみると、そのパターンも人それぞれで、はずれる時は突然やってくる。

それまでは苦労の連続でしかないのに、おむつとのお別れは非常にさっぱりとしている。だからこそ、たくさん買い込んだおむつがパックごと余るという事態が起こる。

ほとんどのママたちが経験する『おむつはずしレース』。それぞれのおむつはずしにドラマがあり、喜びや涙、苦労が満ち溢れている。早くても、遅くてもそのレースには必ずゴールが待っている。だからこそトレーニングコーチである私たちは、わが子の成長に心を寄り添わせてゴールまでの一歩一歩を共に歩んでいくのが一番いいレースだと思う。一緒に泣いたり笑ったりしながら、今しか歩めないその道のりを思い切り楽しんでいこう。