Q:家で遊ぶときにどうしてもテレビを見せてしまいます。ふと気づくとテレビばかり見ている我が子。このままでよいのでしょうか?
A:家族全員が、生活の中でのメディアの位置づけを見直すことが大切です。
この質問、「テレビ」を「スマホ」や「タブレット」に置き換えることもできますね。そしてお子さんがどの年齢であってもよく聞かれる質問です。
乳幼児期のテレビの長時間視聴の影響について、多くの研究者が警鐘を鳴らしてきました。
表情が乏しい、言葉が遅れている、または会話が一方的、視線が合わない、見立て遊びやごっこ遊びをしないなど、社会性の発達の遅れや発達障がいとの類似の症状を呈することがあると指摘されています。
2004年、日本小児科医会は電子メディア(テレビ、スマホ、テレビゲームやDVDなど)が乳幼児の心身の発達に悪影響を及ぼすとして、特に2歳児まではスマホ(テレビ)の使用を控えること、すべてのメディアへの接触を1日2時間までとすること、等を提言しました。
赤ちゃんはまず目がぼんやりと見えるようになると2つの丸を目で追うようになるのだそうです。
つまり母親の目を探すわけです。授乳をしながら目と目を合わせて微笑みかける。赤ちゃんは授乳以上に必要な心の栄養をもらいながら成長していきます。ところが、授乳している母親の目線の先にスマホの画面だったらどうでしょう。探せど探せど目は合いません。そのうち赤ちゃんは目を探すのをやめてしまうでしょう。
少し大きくなると、宙を見つめ「あ~」とか、「う~」といったような声(喃語)を出すようになります。「はいはい」「なあに?」などと声をかけ、会話ではないけれどコミュニケーションのようなものが生まれる瞬間です。でももし、返ってくる言葉がなかったらどうでしょう。
聞こえてくるのは室内に響くテレビの音・・・しだいに声は出さなくなるでしょう。そしてぴかぴか光るテレビの画面に視線は向くはずです。画面からは何のアクションをしなくても、視覚、聴覚に訴える強烈な刺激が浴びせられます。一方的でリアクションは求めません。
情緒の発達に一番重要といわれる乳幼児期がこのような生活であったとしたら…言葉が遅れ、社会性が育たなかったとしても何の不思議もありません。
ここまで読んで、ちょっと心配になってしまったママもいるかもしれません。
大丈夫!
このままでいいのかな?って思えたことが第一歩。子どもがテレビばかりに興味を持つ原因、少し生活を見直すことで改善してくると思います。
まずは、親の方がメディアとの付き合い方を見直します。
帰宅するとすぐにテレビのスイッチをつけていませんか?見る番組はあらかじめ決めておき、つけっぱなしのテレビを消しましょう。
片時も離さず手元にあるスマートフォンは、子どもが起きている時間は見えない場所で充電しておきましょう。
さて、部屋の中がシーンと静かになりました。子どももDVD見ようよ~って言うかもしれません。子どもを刺激的なテレビやスマホの魅力から遠ざけるのは並大抵ではありません。遊ばせなくては…。絵本?知育玩具?何を与えるべき?買わないといけない?そんな声が聞こえてきそうです。
そんなママには、まず、ママ自身が楽しめる遊びを見つけてみましょう。とお話ししています。ママが心から楽しんでいると自然に子どもも遊びに入ってくるでしょう。子どもを遊ばせるのではなく、子どもに遊んでもらう感覚です。
親子が心を通わせて遊んだ経験は、子どもだけでなく親にとっても癒しの時となり、温かい思い出としていつまでも胸に刻まれるはずです。テレビからは味わえない、この豊かな時間を過ごすためには、遊びの引き出しをたくさん持つことも必要です。この、遊びの引き出しについてはまた別の機会に!
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